'Tis the season:FACTORYとシュトーレンの話

11月の日曜日、お休みの日のFactory。

静まり返った店内のキッチンの奥には、小さな灯りがポツン。

誰かいますか?という質問は無用。なぜなら既に店内は(いえ、お店の外も)、オーブンから漂うホリデーの甘い香りでいっぱいだからです。

Factory、そしてエピエリにとって、クリスマスとはシュトーレンの季節のこと。

まだFactoryが生まれる前、麹町カフェのキッチンにいた2006年の頃から、ブーランジェ・三浦がシュトーレンを焼き始めました。

毎年登場するシュトーレンですが、その年のシュトーレンが一番おいしい。というのは、基本の作り方はあるものの、毎年改良を重ねレシピは少しずつ変わっているからです。

本格的な夏が始まる7月頃から、その年のシュトーレン作りは始まります。「今年はどんなシュトーレンにしよう?何を材料に使おうか?」そんな風に話を始め、夏の終わりにはフルーツを漬ける仕込み作業が始まります。

シナモン、ナツメグ、カルダモン、レーズン、クランベリー、無花果、オーガニックナッツにジンジャー・・2014年のシュトーレンは、今まで以上に素材にこだわりました。

想像できない程の量のナッツやドライフルーツ、そしてスパイスをつかって生地を作り寝かせては、ひとつひとつブーランジェ・三浦が形にしていきます。

ドウ(生地の塊)はそれらの材料でずっしり重くなり、大変な力作業。

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この冬は1000個ほど、焼上げます。そのひとつひとつに、手のぬくもりと心を込めて。

そして「Happy holiday!」の挨拶も忘れずに。

通常のシュトーレンに比べて少し小ぶりなFactoryのシュトーレン。毎年改良を重ねる間に、断面を小さくしたほうがスライスして食べやすいことに気がつき、この形と大きさになりました。

シュトーレンの本場であるドイツでは、クリスマス・イヴの4週間前からその日に向けて、少しずつスライスして食べてゆき、クリスマスまでの日々を楽しむといいます。

シュトーレンは、出来立てよりも熟成が進んだ後の方が味が馴染み美味しいものです。

毎日少しずつ、食べていけるように。そして一人暮らしであっても、シュトーレンのあるクリスマスシーズンを楽しむことができるように。Factoryのシュトーレンは、食べる人の日々を想像して出来上がりました。

この手で、今までにもう何本のシュトーレンを焼いたでしょうか。

シュトーレンはその豊かな味わいゆえに、シンプルにそのまま頂くのが一番です。あたたかい紅茶と一緒に、お互いの香りを引き立て合いながら頂きましょう。

とはいえホームパーティーなどクリスマスの集まりでは、レバーペーストなどと一緒に食事の際に出しても喜ばれるでしょう。食後のデザート以外のシュトーレンの楽しみ方です。

Factoryのシュトーレンにとって、パッケージは中身と同じだけ大切。巾着にいれたもの、缶入りのもの、スカーフで巻いたもの・・毎年その入れ物はさまざま。

今年は、キャンドルとその灯りをひとつひとつ手で描き、真っ白な箱につめました。食べる人の日常が温かな光で照らされますように、と。

ポストカードには、季節の挨拶と今年一年の感謝を添えて。こうやって、シュトーレンはより一層美味しくなるのでしょう。

さて、キッチンからは新たに生地をこねる音が聞こえてきました。

街にクリスマスの足音が聞こえ始めるこの季節、Factoryのキッチンからはそんなおいしい音が聞こえるのです。

epi etriz